晴れ
ブライアンの大好きな「オンセン」までハイキング。陽子とブライアンは午前中仕事があるので、出かけるのは11時頃になる。日本から持ってきたうまい米でお握りを作る。ブライアンはのりが食べられないので、別にサンドイッチを作る。その上途中で「ここのサンドイッチはおいしいから」と車を止めて買う。これで全ての準備が整う。


 

歩き始める 雪の残る道、クマもいっしょ



雪の残る川沿いの山道を歩く。流れている水の色が、あまり透明でない。ブライアンに聞くと、温泉が流れ込んでいることやミネラル分が多いせいだろう、そのうちオンセンの匂いがしてくると言う。1時間近く歩いたろうか、ブライアンの言うとおりオンセンの匂いが漂い、道も険しくなってくる。ふと開けた場所に、大きな石で川の流れをせき止めてつくったオンセンがある。いくつものオンセンにたくさんの人が浸かっている。水着を着た人、裸のままの人、さまざまである。日曜日のせいかどこも混んでいて、私たちが入れそうな場所はない。

  
道の傍を流れる川  自称「登山家」

「ちょっときついキャニオンだけど行くか」とブライアンが指差す方向は、急な沢になっている。こういう地形もキャニオンと言うのかと思いながら、「多少きつくても大丈夫」と歩く。確かに少しきつい。昨年の秋に生まれ、クリスマスに陽子の家に来たばかりのクマは時折立ち往生して、ブライアンに「チキン」と言われている。キャニオンを登るとすぐに、ブライアンの「秘密の場所」がある。どこから引いてあるのか、パイプからオンセンが流れていて、ちょうど良い湯加減になっている。


オンセンに浸かりいっぱい   温泉に浸かり喜ぶ三世代の亭主たち


今日の夕食は、オスカーのお母さんが作ってくださる。家に帰るとお母さんとおじさんが腕を振るって、すでに仕上げの段階に入っている。メニューはエンパナーダというミートパイを油で揚げたようなものと、カスエラ・デ・アヴェというチキン、コーン、ポテト、にんじんの入ったあっさりしたポトフのようなものである。南米の料理ということで、さぞこってりしたものだろうと思っていたのだが、どれもあっさりとしておいしい。中でも秀逸だったのが、トマトサラダである。くし型に切ったトマトと、スライスしたたまねぎを混ぜたサラダには、これまで味わったことのないドレッシングがかけてある。


エンパナーダの皮をこねる    お疲れさま、テレッサ

その秘密は、オイルと塩ということである。サラダオイルと塩でさっと和えるだけだという。それだけでこんなにおいしいとは、まさに目からうろこが落ちるとでも言おうか...。いろいろ工夫しておいしいドレッシングを模索してきたが、そんなことが何にもならないような衝撃である。