生活設計

「ふじかたさーーん。できたんです」自治会の会合から帰ろうとする私の前に小走りで寄ってきたAさんは、明るい笑顔で私に報告してくれた。それを聞いて私は昨年夏に彼女が、「来年はもう一人つくろうと思うんです」といっていたのを思い出した。Aさんの言葉を受けて居合わせた同年代の主婦たちは一時子作りの話題に話が弾んだ。一人目の子を作りたい、上の子が4才になるのでそろそろ次の子がほしい・・・。そんな思いの主婦が集まって、幼稚園や、小学校の授業参観で出会うために一緒に子作りをしようと相談している。

子供を作ると言うのは、私たちの世代にとってはある種の聖域とも言える部分で人知の及ばない部分だったような気がする。神からの授かりものとまでは行かなくても、私の周りを見る限りでは「作る」ではなく「できる」ものだった。まして、他人との会話に「ほしい」というのはあっても「つくる」という言葉はなかったような気がする。ところが彼女たちはいとも明るく「つくる」と宣言して、その通りに実行している。

子供によって自分たちの生活設計を変えるのではなく、生活設計の中にこづくりまでもしっかり組み込んでいるのだ。(あまり言いたくないのだが)いまどきの若い人は本当にしっかりしている。