ゆず湯

この季節になると、我が家は毎日のようにゆずを入れた風呂を沸かす。12月の声を聞く頃に母がたくさん持ってきてくれたものを、少しずつ使うのである。半分に切ったものを小さめの洗濯ネットに入れて湯船に浮かす。この季節の楽しみの一つだ。

風呂は仕事から帰った夫が一番に入り、私が入るのは食事が終わってからだ。私は湯船に浸かりゆずの袋に手を触れた瞬間に「また今日も忘れた」と後悔する。袋の中のゆずはひとつ残らず夫の手で絞られている。時には自分の手でつぶして、香りを楽しみながら入ってみたい。夫に私の分も残しておいてと頼むか、自分が入るときは新しいものをひとつ切ろうと毎回思うのに、いつも忘れる。明日こそは新しいのを持って入ろう。