地下駅

上越線下りの土合駅、トンネル内にある地下駅で知られている。地下のホームと地上の駅舎は70メートル以上の標高差がある。70メートルというと、20階建てのビル位の高さがあることになる(よね?)。地上に出る手段は唯一、462段の階段を上ることだ。その階段はひたすらまっすぐに地上に向かっている。まったくなんの邪魔ものもないのだ。なんの飾りもない、薄暗い階段だが、規則正しく5段ごとに踊場があり、その5段ごとに段数が記されている。たった、それだけのことだが、なんだか人に優しいような気がして、上るのが楽しくなるような階段だ。
東京メトロの一番深い駅は千代田線の国会議事堂前駅は38メートル弱だから、その2倍の深さということになる。上り口に立っている看板には所要時間約10分とあるが、おそらくこれは健脚の人だろう。われわれは時間を計らなかったのでわからないが、それ以上かかったような気がする。
駅舎はまるで時が止まったように、私が30年以上前に利用した時のままの姿で建っている。あまりにも寂れてしまった変わりように驚く。上越新幹線が開通してからは、上毛高原駅から直接バスで来る人が多いということだろう。それ以上に、400段以上ある階段を上ろうなんて酔狂な人は少ないということかもしれない。