礼を持って

Hさんの告別式。享年75歳。
Hさんは、市議会議員を4期16年務め、現役の頃は、精力的に活動していた人である。引退後の生活のことは、詳しくは分からない。病気(アルツハイマー)のため、ほぼ12年間入退院の繰り返しであったこと、家にいるときは徘徊がひどく、目を離すことができない状態だったことなどは、時折家族の方たちから聞いていた。家族の方たちのご苦労は、想像を絶するものがあったことだろう。

実際にはどうだったかわからないが、彼は自分が必要とされなくなっていく恐怖と戦っていたのではないかと思う。私はそこに、生きがいを失った者の行く末を見るような気がした。誰もが通る道なのではないか。自分が「他の人々から必要とされている」と、感じる事ができるかどうか。必要とされる人となるには、どうしたら良いか。老後に備えて、考えなくてはならないことであろう。

日中は夏を思わせる、日差しが強い日であった。暑かったので、斎場に半袖で出かけてしまった。およそ千人の参列者のうち、半袖の者は私のほかにたった2人。気候に関係なく、衣更えを過ぎたら冬服、つまり長袖ということか。
「礼を持って人に接するには、まず衣服を改めることから始まる」基本中の基本でした。反省