失せもの

私は、写真を撮るということにたいして異常なくらい執着する時期と、ぜんぜんそんな気にならない時期がある。執着する時期には、しつこいうくらいに被写体にカメラを向ける。でも、このごろのように何かのきっかけで関心がなうすくなってしまうと、もう何ヶ月でも放ったままの状態だ。
明日、ある人物を撮影するためにカメラが必要になった。
いつも置いてあるところになく、ちょっと探しても見つからない。そういえばこのところ持ち出した記憶がない。2階ほどカメラを使ったが、それはたまたま他の人のものを借りたということを思いだした。記憶をたどっていくと、「こんなところに入っていたら、後で見つけられないだろうな」と、心に引っかかっていたことを思い出した。そう思った瞬間を思い出すことができたら、カメラのありかがわかるはず。あと何秒かさかのぼれば…
ほぼ一日苦しんで思い浮かんだのは、大きなダンボールの箱の端っこに滑り込んだカメラの姿だ。でも、それは発見の糸口にはならない。そのダンボールは、すでに我が家にはないのだから。
今までさかのぼっていた記憶を、こんどは逆にたどらなくてはならない。
あの大きなダンボールは、7月2日のフリマで使ったものだ。しばらくは忙しくて、空き部屋にほったらかしておいたが、今は無い。じゃ、何時、どうしたのだろう…
大きなダンボールをたたんで整理したことは覚えている。箱の中身は、フリマで売れ残った衣類が入っていた。それは取っておいても場所ふさぎなだけだから、資源ごみのときにまとめて捨てた。
じゃ、肝心のデジカメは????
ダンボールを処分したことは思い出したが、そのときの様子は浮かんでこない。
あーーあ、明日の朝までに見つかるかな…
だいたいこういう場合、必要なくなって、もうどうでもいいときになって出てくるものなのよねェ。