食事中につき…

急に思い立って妙高
電車の中で駅弁を広げたら、すぐ隣の席にシルバー世代の男性の一団が乗り込んできた。
あたりかまわず声高に話をしている。気にしなければよかったのだが、うっかり、煩いと思ってしまった。それが間違いの元で、それから会話の内容が耳に入るようになってしまった。
会話の中心にいるのは技術者か何かのようで、その昔貨客船で渡米したときの話をしている。約2週間の航海の間、いかに船酔いに苦しんだかを微にいり細にいりきかせてくれる。食事を食べられない様子など、それは詳しく、まったく聞くに堪えない。食事中でなくても耳を塞ぎたくなる内容だ。
彼の席からは、駅弁を広げている私が見え、時折目も会う。私はあからさまにいやな顔をし、なんとか話題をかえてくれないだろうかと祈った。努力も虚しく、話はますますエスカレートしてくる。もうこうなったら覚悟を決めようと、開き直って食べることに集中した。
食べおわって、怒りのおさまらないままこれを書いてふと気が付くと、まったく話し声が聞こえなくなっている。
なんと、件のオジサマたち、揃ってこうべをたれて熟睡している。
人品卑しからず、日本の繁栄をリードしてきたと思える人たちなのに、このマナーの悪さときたら。