インフォームドコンセント

父の肝ガンが再発したということで、処置のために入院している。今日は日曜日だが、担当医師から症状や処置について説明をいただいた。
こうして医師から説明を受けるというの前回の肝ガンの手術のとき以来ほぼ10年ぶりだが、その内容の違いに驚いた。
前回は言葉だけの説明だったが、今回は患者への説明用のフォーマットが用意されていた。数枚複写の書式に、医師は簡単な図を記し症状や処置の方法を説明してくれた。併せて断層撮影の写真も見せながらの丁寧な説明だっだ。
断層写真によると、ガンは肝臓の中で1.5センチほどに成長しているという。肝臓は少し肝硬変気味ではあるが、おおむね良好であるという。医学の知識はまったくといっていいほどないわたしは、その根拠について質問した。
肝硬変を起こすと、肝臓内の血管が硬化し血流が悪くなる。行き場を失った血液は、肝臓の近くにある臓器に流れることから、近くの臓器の肥大の状態で肝硬変の具合が判断できるという。肝ガンなのに胃カメラを飲んだ理由はそこにあるという。幸い父の胃の内部はきれいだった。
処置はというと、2段階に分かれている。第1段階は、経カテーテル的腫瘍塞栓術。
太腿の大動脈からカテーテルを通し、直接肝臓の中にあるガン細胞に到達させる。カテーテルからは抗がん剤と、接着剤(のようなもの)、油(後述)を患部に送る。所要時間は2時間程度、麻酔はかけず、鎮静剤だけを使う。
次の段階は、経皮的ラジオ波焼灼術。わき腹からさした針に電気を通し、直接ガンを焼く。エコーで確認しながらの作業となる。このとき、ガンがしっかり焼けるように、前回の処置で患部に油を注入したのだ。
比較的患者本体のダメージは少ない方法だが、それでも合併症などの可能性はある。感染症(熱、肺炎、腹痛)に対しては抗生剤で、出血に対しては止血剤(場合によっては手術)で、肝臓が弱ってしまうこと(黄疸、腹水、むくみ)に対しては点滴で対応する。もちろん、処置のまえに肝機能や腎機能の検査を行う。父の場合は問題なかったという。
このように丁寧に納得のいく説明をしていただき、明日午前中に処置を行うことが決定した。