道の駅

ドライブをするときの楽しみの一つに、道の駅に立ち寄ることがある。地方の名産や、おいしいものを探すのが目的だ。スーパーには売っていない珍しい野菜や、地元の主婦たちが作った郷土食に出会えることが多い。楽しい発見があるが、期待を裏切られることも時々はある。いや、期待を裏切られることが半分近くはあるといったほうが正しいかな…
先日北陸にドライブした時のこと、温泉地のはずれにある道の駅で袋入りの梨を買った。大きさや色が不揃いなのは承知したが、それにしても品物の悪さには驚いた。まあまあという味のものがいくつかはあったが、果物というには程遠いものが多く入っている。間違っても商品といえるようなものではない。
最近「もったいない」という言葉が世界的に広まり、モノを大切にしようという意識が高まってきている。形の悪い野菜が市場で売れないらしい。味はいいのに…と嘆く生産者の声も聞く。もしかしたらこの梨をもいだひとも、そう思って袋に詰めたのかもしれない。でも、形は悪くてもそれなりの味がするならいいが、単にもったいないから捨てられないというだけで袋に詰めるのはどうかと思う。いくら安いとはいえ、食べられないような代物に代金を払う人はいない。モノを大切にするという立派な行為を間違って解釈してもらっては困る。
なにはともあれ、そんな梨が10個も入っている袋が、二つもある。食べられた代物ではないと言っても、代金を払って買ってきたもの。捨てるのは惜しい、何とかならないか。思いうかんだのが、洋ナシの赤ワイン煮。この育ち切っていない梨の硬さと触感は、熟す前の洋ナシのそれによく似ている。ちょうどいい具合に、山ブドウから造った自家製赤ワインがあった。それをたっぷりつかって、グラニュー糖をたっぷり入れて、弱火でコトコト煮込んだ。仕上げにレモンをしぼって出来上がり。思いがけず高級デザートを作ることができた。