かたばみ

lunch_lunch1997-05-27

気がつかないうちに、庭の隅にかなりの雑草が生い茂っていた。今年は春先から雨が多かったので、雑草の伸びるのが早いような気がする。一通りの草は抜いたが、小さな黄色い花をつけたカタバミだけは残しておいた。

子供のころ読んだ絵本の中に「カタバミ旅行」か、「カタバミの旅行」とかいうのがあったような気がする。はっきりした題名は、どうしても思い出せない。また内容もすっかり忘れている。たしか、はじけてとんだカタバミの種の冒険物語だったような気がする。これは「はちかつぎ姫」と並んで、私の心に残っている2冊の内の1冊なのである。そのせいか、カタバミにはなんとなく愛着を持っている。 カタバミの根は、地中に向かってまっすぐ伸びていく。広がって伸びる根を持った草は比較的抜きやすいのだが、まっすぐに伸びる根のものは抜きにくい。無理に抜こうとすると途中から切れて、そこから再び芽が出てきてしまうのである。おまけにカタバミは、あたり一面に種がはじけてたちまち増えてしまう。だから、農家の人にはとても嫌われている。なくなった兄も、嫌っていた草である。

6月に入ったら、妙高高原にすむ父が「環境整備」と称して、植木の手入れにきてくれる。父もカタバミの実がはじけて飛ぶのをとても嫌がる。それまでには、いやでも抜かなくてはならないだろう。