マサグチいかる怒るいかる怒る

203号室から大きな音。ママが駆けつけてみると、靴箱が倒れ、背中に穴が空いている。ママが客に詰め寄ると、言葉を濁して逃げようとする。
理不尽なことを言う客の言葉を聞いて、腹を立てているマサグチがふと見ると、得点板が外されて、オートチェンジャーの上におかれている。
その瞬間、マサグチは 
「その言い方はないだろう!!」
彼は完全に切れてしまった。振り向いたママの目には、怒りに震え、真っ青になっているマサグチが映った。
昨日から寝ていないというマサグチは、それに加えて忙しさと空腹という、三重苦をおして働いていた。
高校時代の友人たちのあいだに深く流れている、「マサグチは絶対に怒らない」という神話は、今日ここに、もろくも崩れ去ったのである。