勘違い

テーブルの上にJRの切符がある。日付は昨日で、新橋から110円区間。「ン、だれ?キセルしたのは」一瞬そう思ったが良く見ると1110円。「新橋って誰も行ってない、しかも新橋から1110円だと藤沢を超えてしまう」訳が分からないまま切符を眺めていると、さっとが「それ、俺の」と事情を話してくれた。
電車のなかで切符を持ったまま週刊誌などを読んでいて、無意識のうちに切符を落としてしまうことが良くある。横浜からの帰り、藤沢駅に着いたので急いで降りようとしてふと見ると、自分と隣の人の間に切符が落ちている。「しまった、落とした」と思い、拾ってポケットに入れて電車を降りた。藤沢駅では無意識の内に元々自分で買っておいた切符で、六会駅への乗り継ぎ手続きをしたらしい。六会駅で改札を出る際に、自動改札に切符を通そうとしたが拒否された。戻された切符を見たさっとは「??」。訳のわからない切符を持っている。そこで初めてさっき拾った切符は、他の人が落としたものであることに気がついた。
彼もその時は切符の額面を110円と読み違えて、「キセルの切符を拾った」くらいに考え、たいした罪の意識も持っていなかった。
私が1110円と言うと、改めて驚き「切符を落とした人は、さぞ困っているだろうね」とつぶやいた。「でも、今更どうすることもできないよね」「ウン」