帰国前夜

朝:ルカをお風呂に入れた。新生児をお風呂に入れるのは、杏子以来24年ぶりのことだ。今日は特に日本へ持って帰るビデオを撮影すると言うので、ちょっぴり緊張.....しないか、やっぱり。
余りの気持ちよさにルカはベビーバスの中で思いっきりおしっこを飛ばした。その元気のよさにみんな大笑い。今のうちよね、おしっこをして喜ばれるなんて。しばらくすると大きな声で泣き出し、思いっきり大声でしばらく泣いている。ルカは上を向いていると泣いていても、うつぶせにすると泣き止む。みんなそうなのか、この子だけなのかはわからない。


昼:玄関の開く音に振り返ると、ブライアンのお母さんが入ってきた。今、この家にいるのは私と、ルカとクマだけだ。ということは必然的に私が応対しなくてはならない......。お母さんは挨拶もそこそこに、この電話は使えるの?と聞き、電話をかけ始めた。早口で(遅口でも同じだが)、ちょっと助けにきてくれないだろうか、ハイウエイで、私の車が、3人のおまわりさんが、ストロングケーブルで......なんとかいくつかの単語が聞き取れる。どうやら車の調子が悪いらしい。ここまで車でこれたのだから、致命的な故障ではないらしいが困っている様子だ。埒があかなかったようで、電話帳はどこにあるのと聞く。電話帳を引いているが、字が小さくて読み取りにくいようだ。May I help you?これくらいなら私にも言える。修理工場の番号のようである。電話番号を読んであげるが、休みらしくて誰も出ない。じゃちょっと行ってくるとエンジンをかけたまま止めてあった車に乗り込んで出ていった。


夜:ブライアンの招待でサンダンス(映画祭とロバートレッドフォードで有名な高級リゾート)へ夕食に出かける。ブライアンのお母さんを交えて4人分、陽子が7時に予約をとってくれてある。家からはパークシティ(2002年冬季オリンピック会場)方面へ向かう途中、30分弱のところにある。レストランはTree Roomと言い、古い丸太小屋で、趣のある建物だ。料理はメーインディッシュが10ほど、サラダやアペタイザーが併せて10ほど。遠慮しないでおいしいものをいただこうと、ブルーチーズのサラダと、ダックのトリオ(3種類のアヒルの料理)をいただいた。きれいに盛り付けられた料理は、見た目と同じくらい味もよく最高のディナーだった。デザートもすばらしい盛り付けと、味だった。


食事が済んだらクリスマスのイルミネーションを見せてあげると、高級住宅街へ連れて行ってくれた。そこにある家の立派なこと。どうしてこんなに大きな家が必要なのと、思わず声をあげるほど大きな家が立ち並んでいる。3分の1ほどの家は家の軒や庭先をライトで飾り立てている。その見事さ、すばらしい、すごい、とにかくそんな形容しかできない自分が情けないほど「すばらしい」。ブライアンが時折適当なところで車を止めてくれて、何枚か写真をとる。お母さんが「ここは私のお爺さんのいとこの家よ」という家の庭には、馬車や馬のイルミネーションがところ狭しと飾れられていて、これまたなんともすばらしい。

アメリカ滞在最後の夜は、ブライアンの心遣いですばらしい経験をすることができた。