マスクその3

帰国に先立って、大型スーパーの医薬品売り場で消毒用のジェルや、ウェットティシュなど、機内での予防のために様々な品を購入した。もちろんお約束のマスクも買おうとしたのだが、売り場に見当たらない。何度も何度も回っても見つからない。近くに店員もいなかったので、ドラッグストアで買えばいいと、その場はあきらめた。
翌日Yが通りがかりのドラッグストアで車を止めて、買いに入ってくれたが、すぐに手ぶらで出てきた。その店でもマスクは置いてないという。
最近日本ではどこの店でも箱入りの使い捨てマスクが、必ずと言っていいほど置いてある。ドラッグストアでマスクがないなんて、どうにも納得いかない。かといって、スーパーでも見逃したはずはないし…ドラッグストアにもないなんて…
文化や習慣の違いというのは、思いがけないところに見られるものだと感心した。

次はBが買いに行ってくれた。そこは大きなDIYショップで、広い医薬品売り場もある。
手に隠れてしまうような小さな品物を持って向こうから歩いてくるBの姿に、「ああ、あったんだ」と喜んだ。それは、日本で売っているような薄手の不織布のものではなく、少し厚手のシェルの形をしたものだった。少々不格好だが、イザというときは体裁なんて構ってはいられない。あるだけましだと思って、受け取った。
ところが、受け取ってよく見ると、タイトルは"The safety zone" 、帽子と、ごつい手袋と、ゴーグルと、耳あてと、大きなエプロンと、ブーツのイラストが書いてある。あれ?これってもしかして…
読み進むと。"5 Dust Musks / Protect against:Nontoxic shop & houshold dusts, Powders, Pollen & irritants"と書いてある。
ってことは、つまり医療用ではなく作業用ということ???
だとしても、マスクはマスク。いざというときは格好なんかかまっていられないと、バッグに忍ばせて来た。

搭乗の行列を確認すると、マスクをつけていたのは東洋人(おそらく日本人)の4つのグループと一人だけで、その他は誰も着用していない。


そういえば、Yの出産の時の写真を改めてみても、医師も看護師もその他のスタッフも誰一人としてマスクは付けていなかった。病室の壁には手袋(S,M,L)とマスクの箱(写真左上の斜めになっている箱)がセットされていたのだが…

帰国して調べたら、やはりアメリカではマスクは容易に手に入るものではないらしい。白いマスクをつけて街を歩くという習慣は日本独自のもので、他の国では珍しいようだ。私同様にアメリカ国内でマスクを買おうとして見つけられなかった人が何人かいるらしい。