新そば三昧その1鬼無里観音そば

鬼無里の中心部を抜け白馬方面に向かったところにある、観音そばに差し掛かった時、開店時間まであと20分だった。
この道は何度も通っているが、いつも朝早くて営業時間にはまだ間があることがほとんどだった。5月の連休もここまで来ようとしたが、敢え無く敗退したという因縁がある[id:lunch_lunch:20090505]。
天気も気になるが、こんなチャンスはめったにない。ものすごく早めのお昼を食べようと、近くを散策して時間をつぶすことにした。
観音そばは、鬼無里の自然に魅せられた店主が東京から移り住んで始めた店。かやぶき屋根の農家を、あまり手を加えずに使っている。土間に置かれているのは自然木のテーブル、座敷に敷いてあるのはむしろ。囲炉裏にはちょろちょろと火が燃えている。農機具や花のほかに、能面や衣装、何体もの木彫りの観音像が数多く飾ってある。農家風にしつらえた店かと思ったが、文化の香り高い思いがけない店だった。おかみさんも物腰が上品で美しく、調度品の趣味(プロによるディスプレイではない)からしてあの白洲正子を連想させるような方だった。
店の品書きにはもり、木の実、かけなど、そば以外のものは載っていない。肝心のそばは、新そばの香り高いものだった。木の実そばはたっぷりとゴマの入った汁に、きざんだくるみが散らしてある田舎風味のたれによく合っていた。

 
 
 
 

それから、面白いのが、店の敷地の入口にある小屋。ここで、季節の野菜や山菜のてんぷらを揚げている。客がここで注文して清算しておくと、そばのゆであがる時間を見計らって揚げたてのてんぷらを席に届けてくれるというシステムになっている。4人で二皿頼んだが、結構量も多く、満足のいくものだった。
そば屋はそばしか置かないという店主のポリシーからか…推測するしかないが…