松本楼

お堀に沿って日比谷方面に歩いているとき、ふと、松本楼でカレーを食べたいと思った。年に一度10円カレーのことをテレビのニュースで見るくらいで、どんな店かは知らない。でもとにかく有名で、知らない人はないくらいの店だから一度は行ってもいいんじゃないかなと淳子とも合意した。
よくしたもので、日比谷公園の北側には桜の木が何本かあり、一応お花見気分を味わうことができた。
さて、店に入ってメニューを見るとなんとカレーは735円。メニューは洋食屋の定番のハヤシライスや、オムライス、エビフライのランチなど、ちょっと時代を感じさせる品揃えだ。いろいろな料理に迷わないでもなかったが、とにかく記念すべき第一回目なので、私はスタンダードなカレーを選んだ。
待つことしばし、ごくフツーのカレーが目の前に置かれた。これがあの有名な松本楼のカレーとちょっと感動しながらスプーンを運ぶ。ん?ちょっと期待しすぎたかな、なんていっても735円なんだから……「丁寧に小麦粉をいためて、厳選したスパイスを入れてと、昔ながらの本格的カレーのレシピの通りに作っている過程が想像できるような味なんだけどねえ……」と淳子に言うと、「でも大事なのは結果よね」と一言。